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2018年01月30日

——ふうん、お姉ちゃんもけっこう◎が多いんだ……。
 高志はうなった。
 プロポーションの×は、高志が男なのだから当然だが、もしも姉が瑞希の身体のままで出場していたら、愛梨といい勝負になりそうだ。
 ——そうか。うちのお姉ちゃん、人気者だったもんな……。
 自分の姉だからあまり気にしなかったが、家事を高志に押しつけ、下着姿で部屋の中をうろうろするあの怠惰な姉が、こんなにも生徒たちの人気を集めていることに驚くばかりだ。
 ゴシップ新聞とはいえ、ミスコンはもっとも盛りあがるイベントだから、取材にも力を入れているようだ。情報の精度は高いだろう。
「この新聞、二百円だもんなぁ。コンビニでコピーしても二十円だろ。十倍だもんなぁ。高いよなぁ……でも、これ、売れてるんだよなぁ……不思議だよなぁ。みんなゴシップが好きなのかなぁ?」
 A3サイズの紙を両面コピーし、二つ折りにしたもので、誰と誰がつきあったの別れたの、保健室のおばさんが実は美人の探偵だの、学園伝説を検証するだの、校門の横の池には徳川の秘宝と呼ばれる財宝が埋まっているだの、地下には防空壕が掘られていて、死体がいっぱいつまっているだの、やくたいもない記事であふれている。
 新聞部がネットでもなく、フリーペーパーでもなく、紙媒体での新聞発行にこだわっているのは、このゴシップ性といいかげんさによるのだろう。
 こんなアヤシゲな内容を、ヘタにネットにアップすれば炎上必至だ。学校を巻きこむ大騒ぎになるのは間違いがない。
「佐藤さん……っ」
 ふいに姉が立ちあがった。
 椅子が、がたっと不穏な音を立てる。
 飲みかけのコーヒをそのままにして席を立つ。
『えっ、おいっ、お姉ちゃんっ!? カバン、置きっぱなしっ!!』
 姉は、椅子を蹴飛ばす勢いで路上へと走り出る。
 瑞希は、なにを考えているのか、書店の前で立ち止まった。
 伸びあがるようにして店内をのぞきこんだり、髪を手で撫でつけたり、セーラー服の裾を引っ張ったりしてもじもじしている。
 視線の先になにがあるのだろう。書店のガラスが光の加減で反射して、店内の様子が見えないのがもどかしい。
 ——お姉ちゃん。なんか恋する少女って感じだ……。
 ——ってことはつまり……?
 五分ほど待っただろうか。
 やがて書店のドアが開き、黒スーツの青年が静かに出てきた。小脇に、本を入れた紙袋をかかえている。
「佐藤さん……っ」
 高い背と、着慣れたスーツ姿のせいで、ずっと年上に見えたものの、青年はずいぶん若かった。
 高志とほとんど年齢が変わらない。せいぜい大学生、いや、高校生かもしれない。
 だが、目の前の佐藤という青年は、学生特有のふわふわしたところが皆無だった。
 働いている大人、それも接客業についている青年、という感じがした。
 くっきりした目鼻立ちなのに、表情はやさしげで、老成した落ち着きを感じさせる。
 なるほど女子高生が夢中になりそうなヤサ男だ。
 子供向けの特撮アクション番組にチャンネルを合わせれば、似たような顔立ちの俳優がわんさか出てきそうだ。
 ——なんかホストみてぇ……。
「佐藤さん。久しぶり!」
 姉の声ははずんでいた。
 これが自分の声帯から出た声なのかと驚くほど甘い響きを帯びた声だ。
 イケメンホスト男は瑞希がわからないらしく、無言で姉を見ている。
 ——なんだよこいつ? なんでこんな目で僕を見るんだよ?
「わからない? 瑞希よ。よかった。逢いたかったの。ケータイのメモリ消えちゃって、電話できなくて……」
 姉は親しげに話しかけるが、青年の顔には、困ったような表情が浮かんでいる。どうしてこの子がここにいるんだ? とでも言いたそうな雰囲気だ。
 よそよそしい空気は、姉が青年を慕うほど青  
タグ :美容护肤




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